ハーバードER記

Ars longa, vita brevis.

ヘルスサービス研究:救急外来の喘息患者

米国は広い国なので(地理的にも、文化的にも、そして格差も)、 一言でまとめると、だいたい間違えます。僕もボストンの上澄みしか知らないので、米国の5%も理解できていないはずです。 でも医療については 「アクセスが悪く、コストが高く、そして質が低い…

AAEMの売り?

ある学会の上級会員になりました! Fellow in AAEM (FAAEM)です。 といっても、なんのことはない。 年会費のrenewalのお知らせもきたし、専門医だからしょうがなく学会費払うわけです(師走っぽい)。 ところがホームページに、「専門医で、年間費をちゃんと…

気道管理における施設差

医療行為自体そして質に地域差、施設差があることは良く知られています。 米国の救急医療でも 病院前心停止の救命率の差(これはマズいというくらいの格差。アラバマの路上で心停止したくありません), 喘息発作へのガイドライン遵守度のバラツキ、 などなど…

医療系アプリ

スマートフォンやipadにのるアプリ。 これによる医療への介入は日本でも進んでいますよね。 病院前での試みなどは上手くいっているものもあるようです。 Wall Street Journalに簡単な特集。有名なのから、これから伸びそうなものまで。 Health-Care Apps for…

ネタを探す。

こちらの暮らしも6年。 生活に新鮮さも薄れ、ここに書くことも少なくなってきました。 生活の8割は研究に費やしていますが、 人の思うほど派手な仕事ではまったくありません(誰も派手などと思っていないですね)。 基本的にはメールを書き続け、 (日本人…

Dead Man Walking

今週のNEJMより。 いいnarativeです。[http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1312793:title= Dead Man Walking] "Seventy percent of our clinic patients have no health insurance, and they are all frighteningly vulnerable; their care is errat…

珠玉の一言

救急医学会が明日から開かれます。 抄録をぱらぱらと読んでいたのですが、目を惹く抄録を見つけました。 許勝栄先生が若手白熱セミナーのなかで「救急医療にはユニバーサルモデルは存在しません。 その国、その地域、その病院によって要求される救急医療、提…

覚え書き

Write before you feel ready — because you might never feel ready. It's amazing how people magically feel ready when there is an imminent deadline. Don't wait to have a clear picture of the paper. As you start putting down your ideas, you m…

アメリカとは何ぞや

アメリカとは何ぞや。短い文章ですが、的を得ています。

attention deficit traits

随分昔のHarvard Business Reviewから。 Attention deficit traits (diseaseではありません)についての記事。"Overloaded Circuits" いかにも現代病。 僕もstaffとなって仕事が急に増えてきました... もうお客さんじゃないのでので、要求が多い!! (今…

Peter Drucker

もう一度人生をやり直せるなら・・・・ 今度はもっと間違いをおかそう。 もっとくつろぎ、もっと肩の力を抜こう。 絶対にこんなに完璧な人間ではなく、 もっと、もっと、愚かな人間になろう。 この世には、実際、それほど真剣に思い煩うことなど殆ど無いのだ…

SAEM@Atlanta

今回は自分の発表+仲間の発表でアトランタに来ています。 アカデミックの世界でやはり話題になっているのが、「お金」の話。 質の高い研究、教育にはヒト、モノ、そしてカネが必要です。 医学研究の助成金の出所はいろいろとありますが、 やはりNIHが巨大な…

Look for the helpers

"When I was a boy and I would see scary things in the news, my mother would say to me, 'Look for the helpers. You will always find people who are helping.' To this day, especially in times of disaster, I remember my mother's words, and I a…

中国における救急医療

縁あって、中国は北京の救急医とコラボレーションを始めました。 北京の救急施設で急性喘息のスタディを画策中(さらにその先の目標があります)。研究の経験のない救急医なのでかなり「手取り足取り」いく必要がありそうです。 そこで中国における救急医療…

救急部が部門として認知

内輪の話ですが やっと!うちの医学部で"Emergency Medicine"がDepartmentとして独立するようです。 これは僕らの悲願でした。随分、時間がかかりました。 医学部の教育関連病院ではすでに独立部門として認められています。 しかし医学部の肩書きは MGHなら…

続編:不必要な救急受診?

研究が上手くいかなくて(研究の9割とはそんなもののようですが) ちょっと逃避中です。 さて昨日の投稿の続きにいきます。 論文の妥当性は置いておき、結論には賛成。 つまり「後出しじゃんけん」政策には反対です。 卑近な例を挙げれば、 足をくじいて→足…

不必要な救急受診?

今週のJAMAからの論文。 Comparison of Presenting Complaint vs Discharge Diagnosis for Identifying “ Nonemergency” Emergency Department Visits あくまで僕の私見ですが、 これはJAMAに載せていいのだろうか、という疑問符がつきます。 下手したら、方…

救急医の燃え尽き

これは日本でも深刻な問題ですよね。 今月のAnnalsでも取り上げられていましたが この論文(Archives of Internal Medicineより)は、 米国の救急医にとってショッキングな内容。 Burnout and Satisfaction With Work-Life Balance Among US Physicians Rela…

4月に帰ります

4月の中旬に10日ほど、日本に一次帰国します。 いつくかの病院から話をする機会を与えて頂きました。 テーマをいろいろと考えております。 これを読んで下さっている方で、 「うん、うちの病院(会社/団体なんでも)にもこの長谷川という奴を呼んでみよう」…

グローバルな、世界標準な医療を行うには?

これも学生さんから受けた質問です。 「どうやったらグローバルに活躍できる、世界標準の医療のできる医師になれますか?」 この問いに僕は頭を抱えてしまいました。 僕より賢い人にこういう質問をしてもらいたいのがホンネです。 答えがよくわからない場合…

留学に関する学生さんへの回答

学生さんからの質問でルーチーンのものにお答えします。 1)USMLEってどうやってパスするのですか? もう随分昔の話なので参考になるお話は出来ないかと思います。 ただ1つ確かなのは、所詮は、英語の国家試験です。しかもマルチプルチョイス。 ということ…

セーフティネット再考

クイズです。この国はどこでしょうか。 (今週のJAMAより) 他の先進国と比較して 生後、1歳の誕生日を迎えることのできる赤ちゃんの割合が少ないです。 5歳の誕生日を迎えることのできる小児も少ない。 思春期にはいると、どの国よりも10歳代の妊娠および…

北米型救急は必要なのか。

こちらの医療にどっぷりはまっていると、 米国の救急医療のあり方に疑問を感じることが多くなってきました。 (何を今更、という感じでしょうか)。 この国で僕がやっている救急医療、どこまで患者のためになっているのだろうか。 この北米型(ER型)救急医療…

こんな__では駄目だ

僕が好きなブログの一つに、 岩田健太郎先生の「楽園はこちら側」があります。 米国帰りだからとかXXだからとか、そういうことに縛られない 考えることのできる、知恵のある先生ですよね。 今回は「あんな慶応じゃ、駄目だ」 こたえるものがありました。僕も…

新しい趣味。

便利な世の中になったものです。 最近は愛犬くーまと留守番しながら よく映画を見ています。 といっても テルマエ・ロマエとか南極料理人とか そんな邦画ばっかりですが。 iTuneさえあれば、邦画が簡単にレンタルできるんですもんね。 海外にいても困りませ…

ビックリしました

僕はTEDが好きでよく見ています。これはハーバードビジネススクールの先生。 僕は正直あきれてしまいました。 ある意味、とっても東海岸的(ステレオタイプ)とも言えます。 HBSの先生の全てがこんなに人間理解の浅い先生だとは思わない (思いたくない)で…

一夜明けて

一晩で膝〜腰まで積もりました。 波の表現みたいですね。 くーまは喜んでいますが、 ジープは回収不可能。 近所の人と一緒に家の前を雪かき。数時間かかりました。 自分と通行する人のためにやるのですが、 雪かきをしないで通行人が家の前でこけて骨折でも…

60 cmの降雪?

ひさしぶりのボストンの冬が帰って来ました。ここ2年は暖かだったのですが、 今夜から大雪+ブリザード。 どうも60cm降るらしいです。レジデントのはじめの頃、 スノーブーツを履いて駅までえっちらおっちら歩いて通勤していたのを思い出します。 昨夜一緒に…

大学院で授業

といっても、今回は話す立場。 卒業したばかりの公衆衛生大学院。 在学中のアドバイザーからお呼びがかかり 1時間まるまる学生の皆さんに僕の研究の話をする羽目に。 偉い先生の話ばかりじゃなくて、 僕のような学生と変わらないレベルの話もたまには刺激に…

この国の医療訴訟

この国に来てビックリしたことはいくつもありますが(9割は悪いこと)、 弁護士がテレビのCMを使って医療訴訟の患者集めをしているのには驚きました。 今日もそんなことがあって NEJMに載った1〜2年前の研究を思い出しました。 NEJM: Malpractice Risk Accor…