ハーバードER記

Ars longa, vita brevis.

他山の石

先輩のブログ、「田舎のERより」で災害医療について記事がありました。早速僕も地下鉄サリン事件に対応した聖路加病院の救急医の本をamazonで取り寄せました。恐怖を感じるとともに、自らの姿勢を正さなきゃとも感じます。


そして来週のカンファはenvironmentについて。このプログラムでは心血管、呼吸器、消化器、外傷、、、といったように週、月単位でmoduleを決めています。これで1年間経つと、一回りして救急医学全般を学ぶという仕組みです。

というわけで、宿題の論文は、high altitude, heat related illnessそして放射能被爆です。
いつも感じます。日本と比較して、米国は危機意識が強いです。というか災害大国である日本のそれが薄いのでしょう。そうは起こることでないから、なんとなく先延ばし。自分の精神構造にもそれがあるため、理解できます。しかしそもそも、危機管理はまだ起きていないことに事前に備えることですよね。安全と水はやはり無料ではないのです。


昨年の海軍病院もしょっちゅう訓練がありました。とくに戦争をしている國、そして軍隊(暇な病院ということもあるが、、)だけあって、演習は盛ん。しょっちゅう、模擬のcode red, pink, grayがありました。


しかし、日本の地下鉄サリン東海村での事故を他山の石としないこの國の姿勢には学ぶところがあります。
昨年toxicologyの先生についてDMATの講義についていったのですが、サリンの話が出て、ところで今日は日本からゲストが来ていますと僕に話がふられたとき、自分の薄学さに身の縮む思いでした。
この大学でも、救急部の医師が主導となってbioterrorismへの取り組みを行っているようです。

2005年のAnnals of EMによくまとまったRadiological Causalitiesのサマリーがあります。東海村の事故にも言及してますね。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15940101

テロの標的にされる國にすんでいますが、こんな知識が活かされる機会がこないことを願います。でも勉強。