ハーバードER記

Ars longa, vita brevis.

welcome to the new world...


2009年1月1日を持って、Boston市内の病院では救急のDiversionが禁止となりました。
Diversionとは、病院、救急部が満床その他の理由のために、患者の受け入れを断るシステムです。


現在まではやはり受け入れ能力の限界で、うちの病院でも2割ほどの時間がdiversionとなっていました。本当にbedがなくて受け入れたくても受け入れられないのです。しかし今年からそれができなるのです。EMSスタッフも混雑状況を考えて救急車を割り振るようですが、患者さんが病院を指定するとそこに運ばれることになります。その結果、一部の病院に患者さんが集中する結果となります。


その結果、今日のEDは大変なことになりました。まるでnew worldです。平日昼間とは考えられない混雑。しかも病棟にあがれない患者さんが救急でベッドを待つことに、それも30時間とかです。救急のベッドを占めてしまいますから、そこに看護スタッフの力もとられますし、救急部で患者さんをまわすこともできない悪循環となります。


日本でも救急患者の受け入れ拒否=diversion(こちらのDiversionとはすこし意味合いがちがっています)は問題となっていますが、ただ単に禁止すれば良いというものではありません。地域の社会保障を担保するひとつのシステム、セーフティネットとしての救急体制は地域の資源ですから、その有限の医療資源をいかに有効利用するかということを考えなければなりません。この先、diversionのなくなった世界の行方をお伝えできたらと思います。


これが病院正面。
右からWang Bld, 昔からのWhite/Bigelow, そしてオフィスビルみたいなEllisonビルです。外来棟をいれて計16個のビルからこの病院は構成されています。

これはエーテルドーム。エーテル麻酔発祥の地です。