ハーバードER記

Ars longa, vita brevis.

Emergency Medicine Alliance発足!

日本の若手救急医の会が発足しました。
まずはIDATENやJSEPTICを目標として。メーリングリストと勉強会から一歩ずつ。
さらには多施設研究、日本全国へカンファレンスの発信などなど、夢は広がります。


日本の学会に来て実感したこと。日本で多くの救急医とくに若い後期研修医がアイデンティティの危機に陥っている。救急って専門なのか、何でもできる=何にもできない、サブスペシャリティーを身につけなければやりがいがない/専門性がない、ただの便利屋になってしまう、などなど。そして救急の道をあきらめてしまう。なんてもったいないんだろう。


僕が北米に来てもっともよかったことは、北米型救急医学が十分にそれだけでスペシャリティーになりうる深い医学であり、Emergency physicianは初期評価と初期治療のプロフェッショナルであり、healthcareの土台を支えるsafety netであると、プライドを持つ人たちと働けたこと。そして僕もそれを確信できたことなのかもしれない。だから僕にはまったく救急医であること、あり続けることにidentityを保っていける。迷いはない。


日本でも鎌倉、福井、名古屋、沖縄などに恵まれた施設があって、素晴らしい先生方がそんな姿を示して、若い医師を育てているところがある。でも多くの若い医師はその機会がないんだよね。それなしで一人でやっている先生達はほんとにモチベーションの高いすごい人たち。


どうしたら、日本で頑張っている多くの若い医師が救急医学にidentityを持ち、モチベーションを保っていけるのだろう。


1. 仲間をつくる。

2. 勉強会やwebを通じ、救急医学の魅力を共有していく。今のテクノロジーは距離も施設も国境も突き抜ける。例えば昔の知識は帝国大学の学士様からトップダウンに知識が配信されていた。しかしもう時代が違う。すばらしいカンファレンスを持っている施設がwebから生中継で日本中の救急医とカンファができる。知識を占有することがパワーの源泉だった時代は終わった。いまは情報の共有がパワー。きっとemedicineがRosenを駆逐する時代が来る。

3. 長期的には日本における救急医学をサイエンスに基づくものにしなければいけない。日本の北米型救急施設からエビデンスを出していく。Ron Wallsが救急医によるairway managementに根拠を示したように、Riversが救急からのSepsis治療で革命を起こしたように。根拠に基づいた救急医療は、他科に対する日本の救急医の立場を上げ、identityを保つ基盤となるのではないのかな。それに日本の救急医療の発展には、オレ流治療品評会の学会ではなく、health outcomes researchを始めとしたスタディによって、我々がどんな医療をを実際にしているのかを見つめなければいけないと思う。そこから始まる。みんなで多施設研究ができるかもしれない。


夢想は広がるばかり。こんなことが仲間とできたらいいな。まずは素晴らしい仲間達とゆっくりと継続することが目標。



参加ご希望のER救急医を目指す研修医、医師の皆様は
http://www.emalliance.org/wp/join
の登録フォームにご記入ください。