ハーバードER記

Ars longa, vita brevis.

医学部とMGHのレビューに

呼ばれることになりました。最初は軽く考えて引き受けたのですが、じつはBig dealのようです。


事情は複雑なようですが、ハーバード医学部の関連病院としてMGHの救急がどのような仕事をしているか、ということを医学部から外部の人間を入れて監査するというもの。アテンディング、フェロー、レジデントを代表を選んでインタビューするようです。


背景を書くと長くなります。そもそも、ハーバード医学部は大学病院を持っていません。そのかわりブリガムとかMGHなどの教育病院とゆるい提携をむすんでいます。MGHで働く医師は、MGHとブリガムを経営するPartnersという巨大医療コングロマットにやとわれているのですが、その一方、ハーバードの教員として助教授とかの役職の名前をもらっている。(よっぽど学生教育に関わらない限りは給料は基本的にはでない)そういえば僕もMGHとブリガムに雇われていますが、レジデンシーはHarvard Affiliatedということになっている。UCLAとかホプキンズとかは自前の医学部付属病院を持っているので、こういう複雑さはないようです。


しかし、職員はハーバード医学部の名前を名刺に書いていても、実際は医学部からのコントロールがほとんどないのが現状。実際、過去20年間そんなことは救急部にはなかった。そうですよね、医学部は人事権をもたないし、給料も払っていない。ただ医学部としては、名前をあげているだけにMGH救急部を把握しなければいけない。MGHの救急部としても医学部内でのプレゼンスを増したいという気持ちもあります。なぜならMGH内で救急部は内科や外科といった科と同等のプレゼンスを占める(少なくとも体面上は)一方で、ハーバード医学部内では救急部は内科もしくは外科の一部ということになってしまっています。つまり救急部の人間でも外科系助教授とか内科系インストラクターということになる。


というわけで、救急部としてはここでいかに臨床、研究、医学教育(学生とレジデント)を頑張っているかということをハーバード医学部にアピールしたいという気持ちがあるようです。たしかにBig Deal。


話は長くなりましたが、そんな事情で医学部によるMGH救急部のレビューが4/1にあります。インタビューの相手は外部から二人(YaleとシカゴのNorthwestern Univ.の救急教授)。レジデント代表は今年と来年のチーフ、2年めからは僕。なんで僕なのかは相当の疑問なのですが、日本人だからくみしやすいとでも思ったのでしょう。引っ込み思案な僕にはちょっと荷が重い。


ただのエイプリルフールだったりして。